先週三重県津市で開催した、Scratchを使った”子ども向けプログラミングワークショップ”の様子。次回参加してみたいなぁとか、地方でやって見たいなぁと思ってる方の参考になれば嬉しいです。
やってみようと思ったきっかけ
自分の子どもも含め、小さいうちからパソコンやインターネットは身近に有るけど単にゲームをしたり動画を見たりと”使ってる(消費してる)だけ”な感じがしてて、「コンピュータで物作りすると楽しいよー」ってのを体験して貰いたかったのです。
都市部では色んな団体/企業により同様のワークショップが定期的に開催され、子ども達がプログラミングを体験する事が可能なのですが、残念ながら三重では同様のものが見あたらなかったため、やってみる事にしました…って書くとなんだか偉そうやけど、他のワークショップやってる人のレポートでなんだか楽しそうやったんです。
全国のプログラミングワークショップ
- OtOMO こどもプログラミングサークル スクラッチ@東京
https://otomo.scratch-ja.org/ - CoderDojo Japan
https://www.facebook.com/groups/coderdojo.jp/
CoderDojoリスト
Scratch(スクラッチ)を使った理由
子ども向けプログラミング言語(ビジュアルプログラミング言語)としては今回使ったScratchの他に、
- Viscuit(ビスケット)
http://www.viscuit.com/ - Squeak Etoys(スクイーク)
http://squeakland.org/
などが有りますが、
- 子ども達が自分で調べて自己学習していける環境がある(他のプログラムのソースが見られる、公式ユーザー掲示板、関連書籍(amazon)がある)。
- 自分の作品を発表したり他の作品を見られる環境があり、「他人の作品をどんどん改造して発表してこうぜ」って文化が個人的に好き。
- 使ってるユーザーが多いのでキネクトにつながったりロボットをつなげたりと楽しい事が出来る。
- ワークショップ開催に関して先人達の知恵がある(後述)。
ってのが主な理由です。
先人達の知恵
自分の子どもに教えるなら適当に臨機応変にやっていきますが、複数人を集めて講義形式でやってみようと思うとそれなりの内容と準備が必要です。この辺は先人達の知恵が公開されており、これが無ければ僕もワークショップ形式でとは思わなかったと思います。
- ネコから逃げろ!ゲームを使ったスクラッチワークショップ @阿部さん
http://swikis.ddo.jp/abee/77 - プログラミングワークショップを開催してみよう @NPO法人CANVAS
http://www.canvas.ws/p-ws/guidance.html
来てくれた人数と年齢
お盆中の土曜日でしたが、当初予定していた5組10名の方にお越しいただきました。
Scratchは未経験、年齢は9~12歳。地元 津の方が殆どでしたが、名張からも一組。→レポート
やったこと
Scratch1.4(当初2.0を使う予定だったのですが現地でインターネットが使えず急遽1.4にしました)を使い、最終的に「ネコから逃げろ」のゲームを作りました。
大まかな流れはこんな感じ。
- 挨拶、用語の説明
- 基本的な動かし方(ねこを動かす)
- 自由時間
- 休憩
- ゲームを作ってみる(ねこから逃げろ)
- 自由時間(最初から作り直してみる)
- 休憩
- ゲームをより楽しくする(難易度を変える、音や色を変える)
- ゲームの公開(2.0の紹介)
- これから勉強して行くには(中を見る、共有とリミックス、参考書)
子ども達の反応
「用語説明」~「ゲームを作ってみる」までは”説明を聞いてやらされてる”感があったせいか、反応としてはボチボチ(早い子は自由時間にキャラを沢山登場させたり説明途中に数値を変えて遊ぶなど それなりに反応はあるが 勉強をしてる感じ?)でしたが、最後の”自由に難易度を変える”(ねこの早さ、数、角度、大きさを変化させる)は皆さん凄く楽しそうでした。
あと、初めてでも読んで想像できるスクリプト(見た目、動き)に関しては、自由時間に適当に押してる感がありましたが、”もし○○なら”などの”制御”や”調べる”に関するスクリプトは見た目では使い方が分からないのかあんまり押してない感じがしました。僕としても後者を説明したいのですが、説明が長いと勉強っぽくなって反応悪くなるなど、その辺のバランスは結構難しいなぁと感じました。
時間配分
事前の度重なる妻へのリハサールの結果、かなりゆっくり目でやった方が良さそうと言う結論に達したので、”最短で30分からできる”となっていた内容を、休憩を除き2時間で行いました。
- 挨拶、用語の説明(5分)
- 基本的な動かし方(ねこを動かす)(40分)
- 自由時間(5分)
- 休憩(10分)
- ゲームを作ってみる(ねこから逃げろ)(40分)
- 最初から作り直してみる(5分)
- 休憩(10分)
- ゲームをより楽しくする(難易度を変える、音や色を変える)
- ゲームの公開(2.0の紹介)
- これから勉強して行くには(中を見る、共有とリミックス、参考書)
後ほど書きますが、最後に子ども達に書いて貰ったアンケートでは5名中2名が「長かった」と言っています。
より楽しく(集中力を保った状態で)講義が出来たら”長かった”とは感じなかったかなぁとも思いますが、なるべく遅い子にあわせて講義をしたいので、これは今後の課題です。
2度目の休憩のあと時間があれば「自由に作って 他の参加者の作品もやってみる」の時間にしたかったのですが、とてもじゃ無いけどそんな時間はありませんでした。他のワークショップを見てるとこの時間を作ってる所があるのですが、どう捻出しているのか凄く気になります。
センサーボードのデモ
最後さらっと紹介するだけと思っていた、モーターもつなげられるセンサーボード(なのぼ~ど NanoBoard AG)が結構早い時間に「なんなんそれー」って聞かれたので、休憩時間に説明を行いました。来ていた親御さんも含め、興味がありそうな人が多かったように思います。コンピュータの中だけでは無く外に飛び出てると興味を引くんだなぁと感じました(実際面白い!)。
モーターで動くデモを持って行ったのですが、有線(USB)でつなぎっぱなしじゃないとダメな所が残念がられていました。
ワークショップを開くにあたり苦労したところ
参加者集め
やりたいことが有っても 人が集まらないと意味がありません。これは結構苦労しました。
参加者集めに やってみたこと
- ホームページでの告知
- ATNDへの告知
- twitterでつぶやいてみる
- facebookの地方イベント関連のグループで宣伝してみる
- 図書館にパンフレットを置いて貰う(1ヶ所のみ)
- 学習塾、サイエンス塾にポスターを貼って貰う(→× 上司に伝えておきます(棒読み))
- パソコンショップにポスターを貼って貰う(→× 貼るところがない)
- 新聞社、ケーブルテレビにイベントのプレスリリースを出してみる(→× 特に連絡無し)
- 小中学校(数カ所だけ)に案内を出してみる(→× 特に連絡無し)
地方ではまだまだ「プログラミングワークショップ」と聞いても周りで体験した人も居ないし、言葉自体も聞き慣れないのか あんまり興味なさそう(イメージがわかない)です。公共施設関係にポスターを貼って貰おうと行っても「主催者が個人名」「有料(500円)である」事でかなり嫌がられました。継続するってのが一番の宣伝なのかなぁとは思うのですが、他の所ではどんなことをしてるのでしょうか??
講義内容
先人達の知恵をベースにやってみたのですが、言葉選び、何処に休憩をはさんでみるかなどは自分のペースに変えていかないとスムーズに講義はできません。最初に考えた原稿(詰め込みすぎた)を実際にやってみると、あからかに妻が飽きているなど、1回2時間の講義を内容を変え何度もやってみました。
また、普段は専門学校生や大人にしか講義を行っていないため、口調が固くて眠くなると何度もだめ出しをくらい、しんどかったです。
アンケート
講義の最後にこんな感じのアンケートを取りました。
- 今回のワークショップはどうでしたか?(4択)
- ワークショップはむつかしかったですか?(3択)
- せんせいの説明・早さはどうでしたか?(5択)
- ワークショップの時間はどうでしたか?(3択)
- 今後このようなワークショップがあったら行きたいですか?(3択)
- 分かりにくかったところ、こうすればもっと楽しくできそうなどあったら教えてください(自由欄)
- どのようにこのワークショップを知りましたか?(口頭)
結果はこんな感じ。
サンプルが少ないのでこんな感じの子はこうって言うのは分かりませんでしたが、
- 9歳の子は2人とも「長かった」と感じている。
- 凄く面白かったと書いてる子はまた行きたいと思ってくれてる。
- 「むつかしい」とは感じず、概ね面白かったと思ってくれてる。
なかでもワークショップを知ったきっかけが自分の中でかなり意外でした。
今回は色んな所に告知はしてみたものの殆どダメで、結果自分の中ではfacebookとtwitterでしか告知ができてないと思っていました。twitterは地方の”対象年齢の子どもが居る”お父さんお母さんを集めるにはちょっと難しい気がしていたので全てfacebook経由かと思っていたのですが、お友達が都会にいてSNS経由でScratchの存在を知っていたり、三重県の情報なんて全く載ってない(これを書いている時点で0件)ATND経由だったりと、どこで見てるかホントにわからんなぁ感じました。
今後の課題
- 人集め
継続とは思うのですが、良い告知場所などが有ればお聞きしたいです。 - 時間配分
初回参加と経験者を交えながらやって行くとかちょっと無理そう。 - コスト
今回家に帰ってから寄付してくれると嬉しいなぁとお願いしたのですが、ダメでした。公共施設とは言え、借りるのにコストがかかったので次回はもっと小さい場所でやろうと思ってます。やっぱり入場料を取らないとあかんかなぁ。寄付をお待ちしております!!
最後に
当初 人が全然集まらず、色んな所にポスターもってっても嫌な顔をされ結構凹みましたが、やってみると 子ども達が結構楽しんでやってくれてたのでやって良かったです(家帰ってからもやってくれたかなぁ…)。次回は秋にしたいと思ってます。(2013/11/11追記 > 定期的にワークショップを行っています。詳しくはhttps://ws.moyashi-koubou.com/をご覧下さい。)
これの為にわざわざ遠い伊勢市からボランティアで来てくれた森ソフトの森さん、どなたか分からないのですが1万円の寄付をしてくださった貴殿、1回2時間のリハーサルを何度も聞いて 沢山のだめ出しをしてくれた妻、本当にありがとうございました。
今後ともボチボチのペースでやってきますので、よろしくお願いします。
出たばかりの本。なかなか楽しいです。
第1回プログラミングワークショップつ 開催概要
- プログラミングワークショップつ
https://ws.moyashi-koubou.com/ - 2013/08/17(土)13:30~16:00
- 参加者:5組10名
- 三重県立総合文化センター 生涯学習棟 2階小研修室(三重県津市)
- 入場無料(事前に寄付が有ったため)
コメント
[…] けプログラミングワークショップ(Scratch)をしてみた話 https://www.moyashi-koubou.com/blog/scratch_programming_workshop/ […]